リノベーションをすればどのようなお部屋でも間取りを思いのままに変えられる!と思っていませんか?残念ながらそれは大きな間違いです。確かにキッチンや浴室などの設備交換や内装変更まで多くのことができますが、場合によっては制約もあります。
できることだけではなく、何ができないのかもきちんと知って購入の判断やリノベーションプランの計画を立てることが必要です!
「共有部分」と「専有部分」
マンションには共有部分と専有部分があり、リノベーションで変更できるのは「専有部分」にあたる場所のみです。
「共有部分」 … 変更できない
・窓枠、窓ガラス、網戸
・ベランダ、バルコニー
・エントランス、共用廊下、屋上 など
「専有部分」 … 変更できる
・天井や床、壁に囲まれた住居部分
このほかにも、マンションごとに定められている管理規約や構造など様々な条件が絡み合うと「希望の間取りにリノベーションできない」というケースもあります。
構造の違いに注意
一般的なマンションの構造は、「ラーメン構造」「壁式構造」といわれる2種類です。
「ラーメン構造」
柱と梁で建物を支える構造のことで、柱と梁で枠組みを作り、そこに壁や床を張っていきます。柱と梁の接合部を固定することによって耐震性を高めていて、鉄骨造・鉄筋コンクリート造のマンションに広く使われている構造です。
「ラーメン構造」では、建物の構造に影響しない壁であれば取り外しできるため、間取りを大きく変更するリノベーションが可能です。壁を撤去して3LDKを2LDKに変えたり、すべての壁を取り払ってバリアフリーの大型のワンルームにするといったことも可能です。
「壁式構造」
柱や梁の枠組みの代わりに「壁」という面で建物を支える構造です。壁式構造では「耐力壁」と呼ばれる、縦や横からの力に強く分厚く強固な鉄筋コンクリートの壁が使われます。
壁式構造の壁は、それ自体が建物を支える重要な建物構造であるため、取り払うことができません。そのため、壁の撤去をともなうリノベーションはできず、間取り変更の自由度は低くなります。ただし、建物構造に影響を与えない壁(軽鉄とボードで作られているような壁)であれば撤去は可能です。
水回りの移動
物件の間取りを見ていると、「PS」と書かれた箇所に気づくと思います。こちらは「パイプスペース」と呼ばれるスペースで、水道管やガス管などが収まり、建物を縦に貫いて通っている共有配管スペースのことです。キッチンなどから出る雑排水と、トイレの汚水を分けるために各住戸に2カ所以上設置されているのが一般的です。マンション建物内に縦につながっているので、住戸内部にあっても移動することも撤去することもできません。
生活排水をスムーズに流すためには、配管の一定の勾配が必要になるので、水回りを大きく移動する場合は、床をかさ上げして空間を作ることが一般的ですが、排水経路が長くなると勾配の確保が難しくなります。また、排水管が直線ではなく曲がりが多いと詰まりの原因にもなるため、経路を見直すこともあります。
フローリングにできない
構造的には工事が可能な場合でも、マンションの管理規約によってできないケースもあります。
例えば、「畳を無垢のフローリングにしたい」「カーペットはちょっと…」という場合でも、管理規約で床材の変更ができないなんていうこともあります。リノベーションを考える場合には、構造だけではなくこうした検討物件の管理規約もチェックが必要です。
ほかにも、キッチンを移動できなかった、浴室を広くできなかった、と間取り変更が制限されてしまうケースもあります。こうした最悪のパターンを避けるためにも、物件を購入する前にリフォーム会社に見てもらい、どのような間取りが可能になるかを聞くことが大切です。
最近では物件探しからリフォームまでワンストップで行う会社が増えてきているので、一度プロの目で見てもらい理想のお部屋を手に入れてくださいね。
(初回投稿日:2025年1月10日)