新型コロナウィルス蔓延した際、収入が急減し、住宅ローンを返済し続けられるか不安になる人が少なくない状況でした。
延滞する前に早めに借入先に相談し、必要なら返済計画を見直すことが大切です。
ただし、当面の負担を抑えると返済が先送りになり、最終的な総返済額は増えます。
そのために住宅ローンを見なおす際のポイントを知っておきましょう。
例①都内の会社員Aさん(60代)
日経新聞 2020年7月4日(土曜日)朝刊 「このままでは返済できなくなるかも」。
都内の会社員Aさん(60代)は住宅ローンの返済日を前に頭を抱えた。
自営業の妻と収入を合算して住宅ローンを組んでいる。
ところが新型コロナの影響で妻の収入が急減。
月13万円の返済が厳しくなった。
借入先の銀行に相談した結果、元金返済を1年待ってもらい、その間は利息だけ付き4万円を払うことになった。
「何とかしのげそうだ」とAさんは一息つく。
コロナ禍の際、住宅ローン返済に困る人が増えていおりました。
金融庁によると、3月10日から5月末までに全国の銀行に返済負担軽減のための条件変更申込が1万3395件あった。
各行は前向きに相談に応じる姿勢で、5月末までに実際に負担が軽減されたのは5506件。断られたのは50件だけだ。
信用情報に残らず 住宅ローンを延滞すると通常は自動車など新たなローンが借りにくくなる可能性があるが、各行はコロナ禍による負担軽減は原則として信用情報には残さないようにしている。
店頭で相談を受け付けるほか、「3密」回避のため視点に行かなくても相談できる体制を整えている。
三井住友銀行は専用の電話窓口を設置している。
みずほ銀行、りそな銀行なども電話で相談できる。
りそな銀行は7月中にネットでも受け付け開始予定で、条件変更の契約も郵送で可能だ。
条件変更の手数料についてもコロナ禍の返済負担軽減では、みずほ銀行とりそな銀行は原則として無料。
ソニー銀行も無料としている では、具体的にどんな手段があるのか。
住宅ローンは一般的に毎月の返済が同じ額になるように計算し、元金と利息を払っていく。
最初は利息を多く支払い、返済が進むにつれて元金の割合が増える。返済負担を減らすには、このうち元金の支払いを遅らせる。
主に2つの方法がある。
1つ目は完済までの期間は変えず、毎月の返済額を一時的に引き下げる方法。
住宅金融支援機構「フラット35」は原則、最長3年まで減らせる。
民間銀行独自のローンは半年~1年ほど軽減し、状況次第で再び相談に応じる事が多い。
どちらも元金の返済を最大で全額待ってもらえるが、その際も利息分は支払う。
返済の軽減期間を限っているために完済までの利息負担があまり増えず、総返済額はそれほど膨らまない利点がある。
半面、軽減期間が終わると、当初の計画より多く残っている元金を基に毎月返済額を計算し直すため月々の負担が増える。
もう一つの方法は返済期間を延ばし、完済するまで毎月の返済額を軽減する。
月々の負担額は一定になるが、返済ペースが遅くなるため利息を長く払い続けることになり、総返済額が膨らむ。
住宅ローンが払えなくなったらこちら 延長期間には制限 この2つの方法で総返済額はどれだけ違うのか?
10年前に3000万円を35年返済、年利2%で借り、毎月の返済額を10万円から8万円に減らしたいケースでみてみよう。
まず最初の方法で軽減期間を2年にすると、その後に毎月返済額は約2000円増える。
総返済額の増加は約13万円にとどまる。 一方、完済まで約8万円に減らすには返済期間を8年半延ばす必要がある。
この場合、総返済額は約240万円と大きく膨らむ。
さらに注意すべきは完済が遅れ、老後に住宅ローンを抱えるリスクだ。
ファイナンシャルプランナーの久谷真理子氏は「一般に50代後半以降は給料が減る。返済が長く続けば、リタイア後の生活に大きな影響が出かねない」と指摘する。
フラット35では返済期間の延長は最長15年、80歳までとしている。
ネット銀行では返済開始から35年を超える延長をできないところもある。
返済負担の軽減でその後の毎月返済額や総返済額がどのくらい増えるかはケース・バイ・ケース。
残高や完済までの期間、借入金利などをもとに銀行で試算してもらおう。
住宅ローンのボーナス払いが厳しい場合は、返済を待ってもらって将来のボーナス時に上乗せするか、毎月の返済額を増やすのが主な方法だ。
ただし「返済負担の軽減はあくまで緊急避難の対策」(久谷氏)だ。
保険や携帯電話の見直しなどほかの支出を減らせないか、収入は増やせないかなど家計全体を見直すことが欠かせない(大賀 智子)
住宅ローンを組むうえで毎月の返済は無理なく設定することが第一です。
ただ、無理のない資金計画だと希望の物件が買えない、妥協して買うなら買いたくないなどお考えでしたら是非ご相談下さい。
(初回投稿日:2025年11月14日)

