渋谷区にマンションを所有していると、「今売ったほうがいいのか」「貸して家賃収入を得るべきか」「まだ持ち続けたほうがいいのか」と迷うことがあります。
特に、自宅として購入したマンションから転居する場合や、相続によってマンションを取得した場合は、すぐに結論を出せないことも珍しくありません。
渋谷区は都内でも住宅需要の高いエリアですが、「渋谷区なら持っていれば安心」と単純に考えられるわけではありません。
マンションは築年数が進み、所有している間は管理費や修繕積立金、固定資産税なども発生します。貸す場合には賃貸経営の手間や費用も加わります。
大切なのは、売却価格だけでなく、賃料、維持費、築年数、将来の使い道まで含めて比較することです。
「今いくらで売れるか」を最初に確認する
売るか貸すかを考えるとき、最初に確認しておきたいのが現在の売却価格です。
「購入したときより高くなっているらしい」「同じマンションが高値で売りに出されている」といった情報だけでは、実際に自分の部屋がいくらで売れるのかは分かりません。
マンション価格は、同じ建物でも階数、向き、眺望、広さ、間取り、室内の状態などによって変わります。
さらに、渋谷区はエリアによる違いも大きい地域です。
恵比寿や広尾、代官山、松濤などの住宅地と、幡ヶ谷、笹塚、初台などでは、購入を検討する層や物件に求められる条件も異なります。
東日本不動産流通機構(REINS)でも、2026年8月まで中古マンション市場の月例データが継続して公表されており、市況そのものが動き続けていることが分かります。売却を考えるなら、過去に購入した価格ではなく、「現在の市場でいくらなら成約する可能性があるか」を把握することが出発点です。
貸すなら「家賃」ではなく手元に残る金額を見る
売却する必要がなければ、「とりあえず貸しておこう」と考える人もいるでしょう。
ただし、月20万円で貸せるから年間240万円の収入になる、という計算だけで判断するのは危険です。
賃貸に出せば、管理委託費、設備の修理費、入退去時の原状回復費などが発生する可能性があります。空室になれば、その期間は家賃収入も得られません。
マンション自体の管理費や修繕積立金、固定資産税なども引き続き所有者が負担します。
住宅ローンが残っている場合には、そもそも現在のローン契約のまま賃貸に出せるのか、金融機関への確認も必要です。
つまり確認するべきなのは「いくらで貸せるか」ではなく、
年間家賃収入-年間の維持費・賃貸経営費
で、実際にどの程度の収益が残るかです。
例えば高額な家賃を設定できるマンションでも、管理費や修繕積立金が高く、設備交換などの支出が続けば、想像していたほど収益が残らないこともあります。
売却した場合に得られる資金を別の用途に使えることまで考えると、賃貸収入だけで比較するのでは不十分です。
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「将来自分が住むか」は大きな判断基準
今後もう一度そのマンションに住む可能性があるかどうかも重要です。
転勤や一時的な転居などで数年後に戻る可能性が高いのであれば、売却せず賃貸に出したり、そのまま保有したりする意味があります。
一方で、新しい家を購入してすでに生活基盤が移っている、相続したものの自分や家族が住む予定がない、といったケースでは、長期間所有する目的が曖昧になりやすくなります。
「渋谷区だから将来さらに高くなるかもしれない」という期待だけで所有し続けると、その間にもマンションは築年数を重ねます。
将来自分が利用する資産なのか、それとも純粋な投資資産として持つのか。
ここを分けて考えるだけでも判断しやすくなります。
築年数だけでなく「これから必要になるお金」を確認する
長期保有を検討するときには、築年数とマンションの管理状況も確認しましょう。
特に重要なのが長期修繕計画と修繕積立金です。
国土交通省の管理計画認定制度では、長期修繕計画の期間を30年以上とし、その期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていることなどを基準としています。また、修繕積立金を安定的に確保する重要性も示されています。
築年数が進むにつれて、給排水設備やエレベーター、外壁、防水設備など、建物全体で修繕が必要になる箇所は増えていきます。
修繕積立金の値上げが予定されているマンションや、大規模修繕を控えているマンションでは、今後の所有コストが変わる可能性があります。
「今の管理費と修繕積立金なら問題ない」と判断するのではなく、総会資料や長期修繕計画などから今後の負担まで確認することが重要です。
売却が向いているケース
売却を検討しやすいのは、今後住む予定がなく、まとまった資金として活用したい場合です。
住宅ローンの返済、新居の購入資金、相続人同士での財産分割など、現金化する目的が明確なら売却のメリットは大きくなります。
また、築年数が進む前に売りたい、今後の管理費や修繕積立金の負担をなくしたいという場合も売却を検討する理由になります。
ただし、査定価格が高いからといって必ずその金額で売れるわけではありません。
売却時には仲介手数料などの諸費用も発生するため、最終的な手取り額まで確認して比較しましょう。
賃貸が向いているケース
賃貸に向いているのは、安定した賃貸需要が見込め、維持費を差し引いても一定の収益を確保できるマンションです。
駅から近い、周辺に生活利便施設がそろっている、単身者や共働き世帯など明確な入居需要がある物件なら、賃貸という選択肢を検討しやすくなります。
また、数年後に自分が再び住む可能性がある場合も、すぐに売却せず貸す方法があります。
一方、賃貸は「貸したら終わり」ではありません。
入居者対応や設備故障、更新、退去などへの対応が必要になるため、収益だけでなく管理の負担も含めて判断する必要があります。
持ち続けるなら「何のために持つのか」を決める
売却も賃貸もしないで、そのまま所有することが適しているケースもあります。
近いうちに自分や家族が利用する予定がある、売却を急ぐ必要がないなど、保有する理由が明確なら無理に処分する必要はありません。
注意したいのは、「なんとなく値上がりしそうだから」「決めるのが面倒だから」という理由だけで保有を続けることです。
マンションは所有しているだけでも費用が発生する資産です。
年間の維持費を計算すると、数年間保有するだけでかなりの金額になることもあります。
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3つの選択肢は「今後5年」で比較する
売る、貸す、持ち続ける。
この3つで迷ったら、「今日どれが得か」ではなく、「今後5年間でどうなるか」を考えてみると判断しやすくなります。
売却した場合の手取りはいくらか。
貸した場合、5年間でいくら収益が残りそうか。
所有し続けた場合、管理費や修繕積立金、税金などをいくら負担することになるか。
さらに5年後には築年数が5年進みます。
渋谷区という立地は大きな強みですが、すべてのマンションが同じように価値を維持するわけではありません。
大切なのは「渋谷区のマンションだから売る・持つ」と考えることではなく、自分のマンションの現在価値と今後のコスト、そして自分自身の生活計画を並べて考えることです。
まず売却査定と賃料査定の両方を取り、長期修繕計画や年間の所有コストも確認する。
その数字がそろって初めて、「売る」「貸す」「持ち続ける」の3つを同じ条件で比較できます。
大切な資産だからこそ、相場だけに左右されず、将来の使い道まで含めて判断することが、後悔しにくい選択につながります。
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