「築30年を超えたら売れないのでは」「築50年のマンションを買う人はいるのか」。
渋谷区でマンションを所有していると、築年数と売却のタイミングが気になるものです。
結論からいえば、需要がなくなる一律の築年数はありません。
築40年、50年を超えても取引はあります。ただし、古くなるほど物件ごとの差が広がり、立地に加えて建物の状態や管理の中身が問われます。
築40年超でも取引されている
東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)」によると、首都圏で成約した中古マンションの平均築年数は26.58年。
築41年以上の物件は成約全体の23.5%を占めました。
これは首都圏全体の数字であり、渋谷区の成約比率ではありません。それでも、築40年を超えたら買い手がいなくなる、という見方は実態に合わないことが分かります。
一方で、成約に占める割合が大きいことと、どの築古物件も売れやすいことは別です。古いマンションの供給自体が増えれば、成約件数も増えます。
実際の売りやすさを知るには、同じエリアで似た築年数・広さの物件が、いくらで、どれくらいの期間をかけて売れているかを見る必要があります。
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渋谷区では「何年目か」より「どこにあるか」
渋谷区と一口にいっても、恵比寿、代官山、広尾、神宮前、初台、笹塚では、交通の便も街の雰囲気も異なります。
同じ築40年でも、駅からの距離、周辺環境、日当たり、眺望によって買い手の評価は変わります。
住所が渋谷区というだけで、価格が保証されるわけではありません。
ただ、建物は年月とともに古くなっても、便利な立地そのものを新しく作ることはできません。
新築や築浅では予算が合わないものの、住みたい街や通勤のしやすさは譲れない。
そんな購入者にとって、条件の合う築古マンションは選択肢になります。
室内を自分好みに改装したい人なら、内装の新しさより間取りの変更しやすさを重視する場合もあります。
専有面積や敷地の条件に魅力があれば、築年数だけで候補から外されるとは限りません。
ただし、同じ区内でも駅近の人気エリアと、駅から距離がある場所とでは需要の厚みが違います。
駅距離が長くても、落ち着いた住環境や公園への近さを好む人はいますが、その魅力を求める買い手の数や予算は物件ごとに見極めなければなりません。
「渋谷区だから築古でも必ず高く売れる」と考えるのは早計です。
築年数ごとに変わる買い手の視点
築10~20年台は、設備や外観の古さがまだ目立ちにくく、築浅より価格を抑えて購入したい層に検討されやすい時期です。
ただし、この時期でも大規模修繕の実施状況や、今後の修繕積立金の見直しは確認されます。
築30年台になると、内装だけでなく給排水管やエレベーターなど、共用設備の更新履歴も大切になります。
築40年台以降は、耐震性や資金計画、今後も適切な修繕を続けられるかが、より厳しく見られます。
つまり築年数が進むほど、「古いから安い」という理由だけでは選ばれにくくなるのです。
特に注意したいのは耐震基準です。新耐震基準は1981年6月1日から適用されており、判断の基準となるのは原則として建物の完成日ではなく建築確認の日付です。
築年数が境目に近い場合は、資料で確認しましょう。
旧耐震基準の建物でも耐震診断や補強工事が行われていることがあります。反対に、新耐震基準であれば管理状態まで問題ない、というわけでもありません。
東京都の耐震マーク表示制度にも、新耐震適合のほか、耐震診断や耐震改修によって耐震性を確認した建物の区分があります。
購入時に住宅ローンを利用する人も多いため、金融機関による物件審査は需要に影響します。
築年数だけで融資の可否が決まるわけではなく、耐震性や担保評価、買主の条件などを踏まえて判断されます。
買える人がいることと、ローンを利用できる買い手が広くいることは同じではありません。
古い物件ほど、購入資金の選択肢まで含めて考える必要があります。
内装よりも「建物全体」の状態が重要
売却前に室内をきれいにすれば、第一印象は良くなります。
しかし、専有部分をリフォームしても、共用廊下や外壁、給排水設備の状態は変えられません。
買い手が将来の負担を判断する材料になるのは、長期修繕計画、大規模修繕の履歴、修繕積立金の残高や滞納状況、今後の値上げ予定などです。
国土交通省の管理計画認定制度も、マンションの管理・修繕の状況を購入希望者に分かりやすく示すことを目的の一つとしています。
例えば、修繕積立金が月々安いことは、一見すると魅力的です。
しかし必要な工事に対して積立額が足りなければ、将来の値上げや一時金の負担につながります。
また、建替えの話が出ていても、それだけで近いうちに実現するとはいえません。
費用や所有者間の合意など、解決すべきことが多いためです。
「建替えが決まれば高く売れるはず」と見込む前に、議事録などで具体的な進捗を確かめる必要があります。
売却を考え始めたら、管理組合の総会議事録や長期修繕計画、過去の工事履歴を手元にそろえておきましょう。
買い手から管理状況を尋ねられたとき、資料をもとに説明できれば、築年数への漠然とした不安を減らせます。
特に大規模修繕を終えたばかりの物件や、設備の更新予定が明確な物件は、その内容をきちんと伝えることが大切です。
建物の古さを隠すより、これまでどう維持してきたかを示すほうが、購入を判断する材料になります。
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築古を売るなら、改装前に相場を確かめる
築年数が古い部屋ほど、売主は「リフォームしないと売れない」と考えがちです。
けれども、買主が購入後に間取りや設備を一新したいなら、売主が費用をかけた内装が評価されないこともあります。
まずは清掃や不具合の確認を行い、現状のままで売る場合と、手を入れる場合の価格差を比べるのが現実的です。
査定では、同じ渋谷区内の平均価格だけでなく、最寄り駅、徒歩距離、専有面積、耐震基準、管理状態の近い成約事例を確認しましょう。
売出価格は売主の希望額であり、成約価格とは異なります。強気すぎる価格で長く掲載すると、買い手に「売れ残っている」という印象を与えかねません。
反対に、築年数だけを理由に安く見積もれば、立地や管理の良さを価格に反映できません。
「築30年になる前に売るべきか」と迷ったら、次の節目の数字だけで結論を出さないことです。
保有を続ければ賃料収入や居住の便益を得られる一方、修繕費用や設備更新の負担も増える可能性があります。
売却後の住み替え費用も含め、今売る場合と数年後に売る場合を比較して判断しましょう。
渋谷区のマンション需要に「築何年まで」という期限はありません。
築50年でも条件次第で買い手は見つかりますし、築20年でも価格や管理に課題があれば苦戦します。
売却を考えるなら、築年数の数字に振り回されるより、自分のマンションがどんな購入者に選ばれるのかを見極めることが大切です。
参考:
https://www.reins.or.jp/library/2025.html
https://www.taishin.metro.tokyo.lg.jp/tokyo/keihatsu/taishin-mark.php
https://www.mansion-info.mlit.go.jp/certification/
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