渋谷区でマンションを探していると、売り出し物件が以前より目に入る。そんな印象を持つ人もいるかもしれません。
実際、東日本レインズの2026年8月の統計では、首都圏の中古マンションの新規登録件数は前年同月より増えています。
一方、この統計だけで「渋谷区で売る人が増えた」とまでは判断できません。
では、今、売却を考える理由には何があるのでしょうか。
背景には、価格が上がったことに加え、買い手の動きや暮らしの変化があります。
価格が上がり、売却を具体的に考えやすくなった
最も大きな理由は、所有するマンションの現在の価値を知り、売却を選択肢に入れる人がいることです。
渋谷区には、渋谷駅周辺の利便性が高い地域から、代官山・広尾の落ち着いた住宅街、笹塚・幡ヶ谷の生活しやすい地域まで、異なる魅力を持つ街があります。
立地や建物によって価格差は大きいものの、数年前に購入した物件を査定すると、想定以上の価格が付くケースもあります。
以前なら「住み替えたいけれど、今の家がいくらで売れるかわからない」と考えていた人も、売却資金を新居の購入費用に充てられる見通しが立てば、行動に移しやすくなります。
ローン残高を返済したうえで手元にいくら残るか。そこまで計算できて初めて、売却は現実的な計画になります。
また、所有者が高齢になったり、相続した部屋を使う予定がなかったりする場合も、価格を調べることが売却のきっかけになります。
住んでいないマンションでも、管理費・修繕積立金や固定資産税はかかり続けます。「いつか使うかもしれない」と保有していた人が、維持費と売却価格を比べて判断することもあるでしょう。
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「もっと上がるまで待つ」とは限らない
価格が上がっているなら、売らずに待ったほうがよいのではないか。そう考える人もいます。
ただ、売却で大切なのは、相場の最高値を当てることより、希望する条件で買う人と出会えるかどうかです。
2026年8月の東日本レインズの統計では、首都圏の中古マンションは新規登録件数が増える一方、東京都区部の成約件数は前年同月を下回りました。売り出しが増えても、同じ勢いで売れているわけではありません。
こうした市場の変化を見て、「買い手がいるうちに売却を進めたい」と考える所有者がいても不思議ではないでしょう。
特に高額な物件では、売り出し価格と買い手が実際に支払う価格の間に差が生じることがあります。
近隣に似た条件の物件が複数出れば、買い手は比較して選べます。
周辺の成約事例を見ずに強気の価格を付けると、内見が入っても成約まで時間がかかりかねません。
売り手にとっては、相場の動きを見ながら価格を決めることが、以前にも増して大切になっています。
金利の変化を意識する人もいる
住宅ローンの金利も、売却を考える材料の一つです。
日本銀行は2026年9月、政策金利の誘導目標を1.25%程度へ引き上げました。
政策金利が変わったからといって、すべての住宅ローン金利が同じ幅で直ちに上がるわけではありません。
それでも、これから購入する人が毎月の返済額を慎重に見積もるきっかけにはなります。
渋谷区のように購入総額が大きくなりやすい地域では、金利の変化が家計に与える影響も考慮されます。
買い手が予算を抑えれば、売り手が希望する価格との折り合いが付きにくくなる可能性があります。
そのため、将来の価格だけを待つより、今の購入希望者の反応を確かめたいという判断も生まれます。
住み替えや暮らし方の変化が売却につながる
もちろん、売却理由は相場だけではありません。
子どもの成長で部屋が手狭になった、独立後は広い家が不要になった、通勤先が変わった。そうした生活上の理由で住み替える人もいます。
渋谷区のマンションを売り、必要な広さや暮らしやすさを優先して別の地域に移ることも、一つの選択です。
反対に、広い住まいから駅に近いコンパクトな部屋へ移る人もいるでしょう。
同じ渋谷区内での住み替えでも、仕事や家族構成が変われば、住まいに求める条件は変わります。
価格上昇によって売却後の資金計画が立てやすくなり、以前から考えていた住み替えを実行する。
市場と個人の事情が重なって、売り出すタイミングが決まることもあります。
売り出しが増えるほど、買い手に選ばれる準備が必要
近隣に似た条件のマンションが売り出されると、買い手は価格だけでなく、室内の状態や管理状況も比べるようになります。
たとえば、同じ駅から徒歩圏内で広さも近い物件があれば、購入後にかかるリフォーム費用まで含めて検討するでしょう。
売り手は希望額を決める前に、競合する物件がどのような条件で売り出されているかを確認したいところです。
ただし、売り出し中の価格は売り手の希望額です。
「近所の部屋がこの値段だから、自分の部屋も同じくらいで売れる」と考えるのは早計でしょう。
実際の成約価格に加え、何カ月売り出されているか、途中で値下げされていないかを見ると、買い手が受け入れやすい価格を考える手がかりになります。
価格以外の準備も成約を左右します。
室内を片付けて明るく見せることはもちろん、管理規約や修繕履歴、設備の不具合について質問に答えられるようにしておくと、買い手も購入後の暮らしを想像しやすくなります。
大がかりなリフォームをしてから売るべきかは、費用を販売価格に上乗せできるかを見て判断しましょう。
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売却の目的によって、優先する条件は変わる
売却価格を最優先する人と、住み替えの期限までに売りたい人では、適した進め方が異なります。
時間に余裕があれば、買い手の反応を見ながら販売価格を調整できます。
一方、新居への入居日が決まっているなら、希望額だけにこだわらず、売却までの期間も含めた計画が必要です。
売却を考え始めた段階で「いつまでに、手元にいくら残したいか」を整理しておくと、査定結果を比較しやすくなります。
高い査定額を提示した会社を選ぶだけでなく、その金額で売れると考える根拠や、買い手が見つからなかった場合の提案まで確かめましょう。
今の市場を生かすには、売り出す時期と価格を、自分の予定に合わせて決めることが大切です。
「今売るべきか」は物件ごとに判断したい
売り出しが増えているからといって、渋谷区のマンションなら何でも高く売れるわけではありません。
同じエリアでも、駅からの距離、築年数、階数、眺望、管理状態によって買い手の評価は変わります。
修繕積立金の状況や今後の大規模修繕予定を気にする買い手もいます。
売却を考えるなら、まずは近隣の売り出し価格だけでなく、実際にいくらで成約したかを確認しましょう。
そのうえで、住宅ローンの残債、売却にかかる費用、住み替え先の費用まで整理することが大切です。
査定額が高くても、その金額で売れる時期まで保証されるわけではありません。
今、売却を選ぶ人には、上がった価格を住み替えに生かしたい人も、買い手の動きを見て早めに動きたい人もいます。
渋谷区でマンションを売るべき時期は一律には決まりません。
ただ、価格が変化し、買い手の選び方も変わりつつある今は、自分の物件の価値と売却後の暮らしを具体的に確かめるよい機会といえるでしょう。
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