「渋谷区は高い」…この言葉は、半分正しく半分は大ざっぱな表現といえるでしょう。
実際の渋谷区の不動産相場は、「区」そのものよりも「路線」と「駅距離」によって決まっています。
同じ渋谷区内であっても、山手線の徒歩圏と、京王線・小田急線沿線では、買われ方や価格の伸び方が大きく異なります。
1. 渋谷区の相場を決める大前提
渋谷区は、再開発エリア、商業地、住宅地、オフィス街が複雑に入り混じるエリアであるため、区全体で価格が均一になりにくい特徴があります。
同じ渋谷区内であっても、街の性格や人の流れが大きく異なり、それが不動産価格にもはっきりと反映されます。
その中で、相場を大きく左右している要素が次の2点です。
・駅の序列(どの路線・どの駅に近いか)
・駅からの徒歩分数(特に徒歩10分以内かどうか)
特に渋谷区では、「駅に近いかどうか」以上に、どの駅につながる立地なのかが重視される傾向があります。
同じ徒歩10分でも、接続路線や駅の格によって、評価や需要の厚みが大きく変わります。
つまり、「渋谷区だから高い」のではなく、どの駅に、何分で、どのエリアへつながる動線を持っているかが、価格を決めているのです。
2. 山手線徒歩圏|相場を押し上げる「指名買い」
2-1. 山手線徒歩圏の実勢相場
渋谷区内で山手線徒歩圏に該当する主なエリアは、以下です。
・渋谷駅徒歩圏
・恵比寿駅徒歩圏
・原宿・代々木駅徒歩圏
これらのエリアにおける中古マンション相場(70㎡前後・一般的な築年数)は、
・坪単価:550万〜750万円前後
・価格帯:1億1,000万〜1億5,000万円台
が中心となっています。
条件の良い物件では、坪800万円を超えるケースも見られます。
2-2. なぜ山手線徒歩圏は高いのか
山手線徒歩圏の最大の特徴は、「指名買い」が入りやすい点です。
購入層は、
・山手線沿線に住みたい
・渋谷や恵比寿に徒歩で出られる立地を重視したい
・将来の売却や賃貸も見据えて資産性を確保したい
といった層が中心です。
このエリアで買われているのは、単なる住居ではなく、時間の効率性や住所価値といえます。
終電を気にせず移動できる距離感や、仕事とプライベートの中心に近い立地が、価格に反映されています。
2-3. 山手線徒歩圏の注意点
価格が高い分、物件の完成度は厳しく見られます。
・管理状態が悪い
・修繕積立金が不足している
・規約上、賃貸に出しにくい
といった物件は、「山手線沿線であっても価格が伸びにくい」傾向があります。
山手線徒歩圏は、立地の強さと引き換えに、物件自体の質が強く問われる市場です。
3. 京王線・小田急線|割安感が生まれやすい理由
3-1. 京王線・小田急線の実勢相場
渋谷区内の京王線・小田急線沿線(初台・幡ヶ谷・笹塚・代々木上原・代々木八幡など)の中古マンション相場は、
・坪単価:380万〜550万円前後
・価格帯:7,000万〜1億1,000万円前後
がひとつの目安となっています。
同じ渋谷区内でも、山手線徒歩圏と比較すると、2,000万〜4,000万円程度の価格差が生じるケースも少なくありません。
この差は、単純に立地の良し悪しというより、「どの価値軸で評価されているか」の違いによって生まれています。
3-2. 京王線が割安に見えやすい理由
京王線沿線は、新宿へのアクセスが非常に良好で、通勤・通学の利便性という点では高い評価を受けています。
一方で、
・大通り沿いの立地が多い
・甲州街道の交通量の多さ
・線路や踏切による騒音の影響
といった要素により、物件ごとの評価が大きく分かれやすい特徴があります。
その結果、「京王線沿線」という大きな括りで相場が均され、実際には住環境の良いエリアまで割安に評価されることがあります。
特に、
・大通りから一本入った場所
・駅徒歩10分前後で生活動線が整っている立地
・低層住宅が多く、落ち着いた雰囲気のエリア
では、渋谷区内であるにもかかわらず、山手線エリアと比べて価格が抑えられる傾向が見られます。
3-3. 小田急線は住宅地としての質で評価される
小田急線沿線、特に代々木上原・代々木八幡周辺は、渋谷区内でも住宅地としての完成度が高いエリアです。
・低層中心の街並み
・落ち着いた住環境
・代々木公園への近さ
・日常生活の動線が整いやすい点
といった要素が評価され、実需層からの根強い需要があります。
こうした背景から、相場の中心は
・坪単価:450万〜600万円前後
となっています。
ただし、小田急線沿線は、坂の多さや道路幅、敷地形状などによる個別差が大きく、条件の良い立地が相場の中に埋もれているケースも少なくありません。
4. 山手線徒歩圏と京王・小田急線の決定的な違い
ここまでを整理すると、渋谷区内でも路線によって「評価される価値軸」が明確に異なることがわかります。
山手線徒歩圏は、時間効率・ブランド力・資産性を重視する市場です。
価格水準は高いものの、「山手線沿線に住みたい」「渋谷・恵比寿に歩いて出られる立地が欲しい」といった指名買いが入りやすく、相場が下がりにくい傾向があります。
実需と投資的視点の両方が入り混じるため、景気変動があっても急落しにくい点が特徴です。
京王線・小田急線は、住み心地やコストパフォーマンスを重視する市場です。
都心へのアクセス力は高いものの、山手線ほどのブランドプレミアムが乗り切らないため、同じ渋谷区内でも価格が抑えられやすくなります。
その結果、立地や環境条件が良い物件でも、相場の中に埋もれた「割安感」が生まれやすいという特徴があります。
重要なのは、どちらが優れているかではありません。
購入者が何を価値としてお金を払っているかが根本的に異なるという点です。
山手線徒歩圏では「時間と立地」に対して対価を払い、京王線・小田急線では「暮らしの質と余白」に対して対価を払う。
この違いを理解せずに比較すると、「高い」「安い」という表面的な判断に陥りやすくなります。
5. 相場を見誤らないための視点
渋谷区では、数字だけを見て判断すると失敗しやすい傾向があります。
同じ坪単価でも、その背景にある評価軸が異なるためです。
山手線徒歩圏では、立地の強さに安心しすぎず、管理状態や修繕計画、将来の売却・賃貸といった出口戦略まで含めて確認することが重要です。
価格が高い分、管理や規約に弱点があると、将来の評価に大きく影響します。
京王線・小田急線では、駅距離や価格だけで判断せず、騒音、夜間の雰囲気、生活動線を実際に歩いて確かめることが欠かせません。
同じ徒歩分数でも、道の明るさや周辺環境によって住みやすさは大きく変わります。
同じ坪単価であっても、住んだ後の満足度や、売却時に評価されるポイントには大きな差が生じます。
その差を生むのが、「路線ごとの価値観の違い」です。
まとめ
渋谷区の相場は、「渋谷区だから高い」という理由だけで決まるものではありません。
路線ごとに異なる価値観が、そのまま価格に反映されています。
山手線徒歩圏は、時間とブランドを重視するエリアです。
京王線・小田急線は、暮らしやすさと余白を重視するエリアです。
自分が何に対してお金を払うのかを理解できていれば、渋谷区は決して「高すぎる区」ではありません。
参考:
SUUMO: https://suumo.jp/ms/chuko/soba/tokyo/sc_shibuya/
Nomu.com: https://www.nomu.com/mansion/area_tokyo/13113/
マンションナビ: https://t23m-navi.jp/list/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E6%B8%8B%E8%B0%B7%E5%8C%BA
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