「渋谷区のマンションは高すぎて手が出ない」…不動産相談の現場で、もっともよく聞く言葉のひとつです。
たしかに、渋谷区と聞くと、恵比寿や原宿のような洗練された街並み、高級レストランやブランドショップが並ぶイメージを思い浮かべる方も多いでしょう。
そのため「渋谷区=都内屈指の高額エリア」という印象が定着しています。
しかし実際のマーケットを丁寧に見ていくと、渋谷区は必ずしも常に割高というわけではありません。
むしろ条件次第では、他区よりも割安感が出やすいエリアでもあるのです。
今回は、その理由と具体的な狙い方を整理していきます。
なぜ「渋谷区=高い」と思われやすいのか
まず前提として、渋谷区のブランド力は非常に強力です。
・山手線内側を中心とした立地の良さ
・商業・カルチャー・IT企業が集積する都市性
・再開発による街のアップデート
こうした要素が重なり、「高いのは当たり前」という空気感が生まれています。
さらにポータルサイトなどでは、築浅・駅近・ハイグレード物件が目立ちやすく、平均価格が実態以上に高く見える構造もあります。
つまり、渋谷区の中でも一番高い層だけを見て判断してしまっているケースがとても多いのです。
実は渋谷区は「価格の振れ幅」がとても大きい
渋谷区の最大の特徴は、同じ区内でも価格差が極端に大きいことです。
徒歩10分圏内でも、
・坪単価が300万円を超えるエリア
・坪単価200万円前後で買えるエリア
が普通に混在しています。
この振れ幅の大きさこそが、割安感が生まれる最大の理由です。
理由は大きく3つあります。
① 再開発エリアと既存住宅地が混在している
渋谷区は、今なお大きく姿を変え続けている区です。
とくに渋谷駅周辺では大規模な再開発が進み、オフィス・商業施設・インフラが次々と刷新されています。
こうした再開発は、単に駅前だけの話ではありません。
企業の集積、雇用の増加、街のブランド力向上といった波及効果は、時間差で区全体に広がっていきます。
一方で、駅から10分〜20分ほど離れると、そこには昔ながらの低層住宅街や築年数の経ったマンションが点在しています。
静かな生活環境が保たれている反面、見た目の派手さがないため、市場では再開発エリアほど注目されません。
ここで重要なのが、「価値の上昇スピード」と「価格の反映スピード」は一致しない、という点です。
再開発によって
・エリア全体の利便性が上がる
・人の流れが増える
・商業圏が拡張される
といった立地としての本質的な価値は、比較的早い段階で底上げされます。
しかし実際の不動産価格は、
・駅距離
・築年数
・見た目の新しさ
・ブランドイメージ
といった分かりやすい要素に強く引っ張られるため、既存住宅地側は後回しにされがちです。
結果として、
・立地の価値はすでに上がっている
・しかし価格はまだ十分に織り込まれていない
というタイムラグが生まれます。
このズレこそが、渋谷区で割安感のある物件が出やすくなる最大の理由です。
これは再開発エリアの華やかさの裏側で、同じ区内の住宅地が「静かに置いていかれている状態」になりやすいともいえます。
この構造を理解しているかどうかで、渋谷区の見え方は大きく変わってきます。
② 「駅力」で評価されすぎる傾向がある
渋谷区のもうひとつ大きな特徴は、不動産価格が実際の暮らしやすさよりも「駅名の強さ」で決まりやすいという点です。
いわゆる「駅力」です。
たとえば同じ区内でも、代々木上原のように全国的な知名度がある駅は、それだけで価格が一段引き上げられます。
一方で、そこから数駅離れた笹塚や幡ヶ谷になると、
・渋谷区アドレスは同じ
・都心への距離も大差ない
・生活利便性も十分高い
にもかかわらず、価格帯は急に現実的になります。
ここがとても重要なポイントです。
実際のところ、
・新宿までは1〜2駅
・渋谷方面へも乗り換え1回程度
・スーパー・病院・飲食店も揃う
といった生活動線だけを見ると、体感的な差はそこまでありません。
それでも価格が大きく変わる理由はシンプルで、人は「路線」ではなく「駅名」で判断するからです。
購入検討者の多くは、
・代々木上原=おしゃれ・ハイセンス
・笹塚・幡ヶ谷=庶民的
というイメージを無意識に持っています。
そしてこのイメージ格差が、そのまま価格差として固定化されていきます。
ここで起きているのは、立地価値の差ではなく、認知バイアスによる価格差です。
つまり、
・実際の利便性
・都心への近さ
・将来の流動性
といった本質的な価値よりも、渋谷区では
・有名駅=割高になりやすい
・無名寄りの駅=割安感が残りやすい
という二極化が起こります。
さらに厄介なのは、この駅名バイアスが中古市場でも強く働く点です。
新築時はブランド駅で高く売られ、中古になっても「駅名の強さ」だけで一定の需要が保たれます。
一方で、周辺駅の物件は
・築年数が少し経つ
・見た目が地味
というだけで、実力以上に値下がりしやすくなります。
しかし冷静に見ると、
・区は同じ
・生活圏もほぼ同じ
・再開発の恩恵も共有している
というケースが非常に多くなっています。
ここに、渋谷区特有の「拾えるゾーン」が生まれるといえるでしょう。
駅名に一喜一憂せず、実際の距離感や日常の動線、将来の街の伸びしろを基準に見ることができれば、「なぜここがこの価格なのか?」と不思議に思う物件が、現実に見つかります。
③ 築年数で一律に敬遠されやすい
渋谷区は土地値が強いため、築古マンションでも立地価値は落ちにくい傾向があります。
にもかかわらず、
・築30年以上
・設備が古い
・見た目が地味
といった理由だけで敬遠され、価格が抑えられるケースが少なくありません。
管理状態が良ければ、実際の資産価値はそこまで下がらないにもかかわらずです。
割安感が出やすい代表的なエリア
では、具体的にどのあたりが狙い目になりやすいのでしょうか。
代表例としてよく挙がるのが、
・笹塚
・幡ヶ谷
といった京王線沿線エリアです。
これらは渋谷区でありながら、
・新宿まで1〜2駅
・渋谷方面へのアクセスも良好
・生活コストが比較的穏やか
というバランス型エリア。
「渋谷区」という住所を持ちながら、価格帯は中野区・杉並区と競合する水準に収まることも珍しくありません。
また、駅から少し距離のある代々木周辺や初台寄りエリアも、タイミング次第では割安物件が出やすい傾向があります。
注意点:安さだけで飛びつくのは危険
もちろん「安く見える」からといって、何でも買ってよいわけではありません。
特に注意したいのは以下のポイントです。
・管理組合が機能しているか
・修繕積立金が極端に不足していないか
・周辺の再開発計画や用途地域
・日照・騒音・高低差など現地環境
渋谷区はエリアごとの差が激しいため、同じ価格帯でも将来性の差がはっきり分かれます。
割安に見えても、
・流動性が低い
・将来売りづらい
・管理が崩れている
といった物件は、結果的に高くつく可能性があります。
まとめ:「渋谷区=高い」は半分正解、半分誤解
確かに渋谷区には、日本トップクラスの高額エリアが存在します。
しかし同時に、
・再開発の波に価格が追いついていない場所
・駅名評価に埋もれた住宅地
・築年数で過小評価されているマンション
といった、割安ゾーンも確実に存在しています。
大切なのは、「渋谷区」という看板ではなく、その中身を見ること。
エリアの特性、管理状態、将来の動きまで含めて見極めれば、渋谷区はむしろコスパの取りやすい区になり得ます。
「高そうだから」と最初から除外してしまうのは、非常にもったいない選択です。
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